登場から随分経ったiPad。今では個人利用だけでなく、学校などの教育機関や一般企業へも、その活用範囲が拡がっています。
そこで今回は、これから自分の会社でiPadを導入しようと考えている方向けに、そのメリットや注意点をご紹介しましょう。
企業へも導入が拡がるiPad
少し前まで、一般企業で見掛けるIT機器というと、WindowsやMacといったPCが主流でした。
みなさんの中にも、電車やカフェなどで、ラップトップPCを拡げて仕事をこなしている人を見掛けたことは、恐らく一度や二度ではないはず。
あるいは、そういったスタイルで仕事をしているという方も、いらっしゃるかもしれませんね。
ただ、この傾向も最近では少しずつ、スマートフォンやタブレットに置き換わりつつあります。
こちらの記事にもあるように、大手企業での大量導入も珍しいことではないのです。
iPadを企業で導入するメリット
iPadを企業で導入するメリットは、例えばこちらのようなものがあります。
カタログや画像・映像を顧客に見せやすい
営業職の場合、お客さんに商品のカタログを見せて説明を行うケースも多いと思います。
そんな時、iPadならカタログを表示した本体をお客さんに渡して、あとは紙のカタログと同じように、じっくりと読んで貰うことが出来ます。
操作もタッチパネルで簡単ですし、アプリ側が対応していれば拡大縮小も思いのままなので、その点でも好都合。
逆にラップトップPCだと、一部のWindows機のようにディスプレイがタッチ操作に対応していない限り、このようにはいきません。
セキュリティリスクが低い
iPadに使われるアプリは、原則としてAppleの審査を受け、App Storeで公開されたものしか使用できません。
よって、100パーセント安全というわけではないものの、通常のPCやAndroidタブレットと比べると、コンピューターウィルスの心配をする必要性は低いといえます。
このメリットは、特に多くの社員に大量支給する予定がある場合に、大きな違いとなって現れるのです。
PCやAndroidと違い、実質的にアンチウィルスアプリが必要ないiPadでは、当然その分のコストを削減することができます。
個人用途でも結構なお値段がするアンチウィルスアプリですから、企業レベルで大量に導入するとなれば、その費用はかなりのもの。
安全性を犠牲にすることなくそれをカット出来るというのは、経営側としては非常に助かることです。
OSのバージョンアップがある程度の期間行われる
ライバルのAndroidのOSアップデートは、Google側が新しいバージョンを公開しても、それを実際にユーザーに提供するかどうかは端末メーカーなどの判断に任されています。
よって、古かったり、あまり売れなかった機種だと、メーカー側がアップデートに対応せず、セキュリティホールが空いたまま運用せざるを得ないなんてこともあり得る訳です。
一方のiPadはどうでしょうか?
こちらは、Appleが「〇年間サポートする」と明確に発言はしている訳ではありませんが、少なくとも過去の実績から、登場後数年程度はOSのアップデートが提供される可能性が高いと考えられます。
端末1台あたりの金額や、性能に対するコストパフォーマンスという点では不利な事もあるiPadですが、長い目で見ると、それは十分補えるのではないでしょうか?
売却時の価格が他OSのデバイスより高価になる傾向にある
これは、iPadに限らずApple製品全般に言えることですが、数年間使用した後に中古で売却する際の買取価格が、同時期に発売されたほぼ同性能の他社製品と比べ、高額になりやすい傾向にあります。
もし、リース等を使わず、全て会社の経費で購入して使うということであれば、この差は後々大きくなってくるでしょう。
ただし、これはあくまでも傾向であって、実際には売却時の相場や端末の状態などにより、買取価格は変動します。
また、大量導入した端末を一気に売却する場合、個人ユーザーが売却する時とは別の買取価格を示される可能性もあり得るので、あくまで参考程度にお願いしますね。
充電器やケーブルをiPhoneと共有できる
iPadの充電ケーブルはiPhoneと共通のLightningケーブルなので、ケーブルをiPhoneと共有することも可能です。
また、iPad付属の充電器はiPhone用の出力増強版なので、iPadとiPhoneのどちらでも使う事ができます。
この点は、出張などで荷物を少しでも減らしたい時など、地味に役立つメリットだったりします。
ただし、iPhone付属の小さな充電器では、(出力が弱すぎて充電に時間が掛かりすぎてしまう為)iPadは基本的に充電できません。ここは要注意ポイントです。
iPadにも弱点はある〜そのデメリットとは
一方で、iPadも決して万能ではなく、デメリットも存在します。
今度はこちらを見ていきましょう。
作業の生産性は必ずしも高くない
iPadも初登場した頃と比べると性能は大きく向上し、今ではPCも顔負けの性能を誇るようになりました。
しかし、そうはいっても結局はタブレットですから、作業内容や使用者の慣れ具合によっては、必ずしも生産性が高いデバイスとはいえません。
例えば、論文やレポートなどで長文を書く作業。
こちらは、iPadでも対応出来ないことはありませんが、早く・正確に書くことを意識すればするほど、PCの方が生産性が高いと感じる方は多いでしょう。
特に、現状ではiPad標準の日本語変換機能は、あまり賢いとはいえません。
ATOKなどのサードパーティ製キーボードである程度補完はできるものの、こちらも外付けキーボードには正式対応していないので、入力効率を上げようとすれば自ずと限界が出てきます。
対してPC側は、標準の日本語変換機能こそiPadと大差はありませんが、数多くのサードパーティ製IMが用意されている為、それを使えば(お金は掛かるものの)簡単にプロと同じ環境を用意することが可能です。
また、音楽や映像分野も、細かい編集や負荷の大きなエンコード作業などは、タッチパネルのiPadより、マウスやトラックパッドを使えるPCの方が向いています。
こうしたことから、間違ってもiPadだけで全てを賄おうとしてはいけません。
重量を感じる事もある
iPadはどのタイプも金属筐体を採用している為、プラスチックなどの軽量素材を使った他社製品と比べると、重量面ではどうしても不利になりがちです。
私も長らく9.7inchのiPadを使っていますが、古い機種より軽いとはいえ、やはり重さを感じる事は少なくありません。
持ち運びの機会が多い方は、結構この辺りは気になるポイントかもしれませんね。
外付けキーボードも付けるとラップトップPCと重量差が殆どない
iPadはBluetoothやLightning接続のキーボードを使う事ができます。
また、iPad Proではコネクターで簡単に接続できるSmart Keyboardも発売されているので、こちらの購入を考えている方もいらっしゃると思います。
いずれのキーボードもiPadの文字入力効率を上げてくれる優れものではあるのですが、1つ注意点があります。
それは、重量。
多くの外付けキーボードは、それ単体で数百グラム程度の重量があります。
一方のiPadは、9.7inchモデルで478g。これにキーボードの数百グラムが加わると、軽量型のラップトップPCと殆ど変わらない重量です。
さらに、本体を保護する為のケースやカバーを使っている方も多いでしょうから、その重さを加味すると、重量差はさらに縮まります。
単に荷物の重量軽減を目的としてiPadを導入しようとする場合、こうした実質的な重量についてもよく考えておく必要があるでしょう。